– 東京都コロナ感染者数増加のため、この例会は延期になりました。延期期日未定(2021.8.23)-

2021年度9月例会連絡書

下記のように9月例会を行いますのでお集まりください。
会長 小澤純

日時: 2021年9月20日(月祝)18:30
場所: 東京芸術劇場 ミーティングルーム5(池袋西口)
発表: 鈴木千帆 後藤友香理
「東京音楽学校におけるピアノ教育レパートリーの変遷 ~明治・大正時代におけるフランス音楽に着目して~」
会費: 会員:無料/非会員(一般):2,000円/非会員(学生):1,000円

内容要旨

現在の日本のピアノ教育界に一瞥を投げかけると、バッハ、ベートーヴェンという代表的なドイツ音楽だけでなく、オーストリア、フランス、ロシア、東欧、北欧諸国等の様々な音楽が取り入れられており、その多様さは目に見張るものがある。さらにフランス音楽に焦点を当てて考えると、ドビュッシー、ラヴェルを中心に日本のピアノ教育レパートリーの非常に重要な一部分を占めていることに異論はないだろう。しかし、自然と思われているこの状況が形成されてきたのは、いつごろのことだったのであろうか。

フランス音楽が取り上げられるようになったのは、フランスに滞在し帰国後紹介した、安川加壽子他の功績が大きいとされている。その際、音楽教育の中軸となる東京音楽学校がそれまでドイツ一辺倒であったという指摘がなされることがしばしばある。

では、実際のところ、音楽黎明期、明治・大正時代のフランス音楽が東京音楽学校でどのように扱われていたのであろうか。それを本発表にて紐解いてみたい。

日本の音楽黎明期を考察するうえで欠かせない資料とされるのは、『東京芸術大学百年史』であろう。日本の音楽界を牽引してきた東京芸術大学の前身が今の形になった過程が静かに資料提示されている。

この『百年史』は、演奏会編が第三巻まで刊行されているが、本発表では、この演奏会編第一巻と明治43年1月に創刊した東京音楽学校が編集する雑誌『音楽』(共益商社楽器店)の記述、それに、東京芸術大学アーカイブにあるピアノ試験曲のリスト、この3つを明治・大正期に限り整理し、考察する。

本発表を通じて、先述したフランス音楽におけるレパートリーが世界的に固定されてきたのは実はここ数十年のことで、それ以前は現在とはひと味違う、豊かなレパートリーが親しまれていたことがうかがえると考える。

※ご出席に際しては新型コロナウイルス対策のため、マスク着用、一定体温(37.5度)以上の場合は参加ご遠慮頂く等はもとより、事務局よりの示される注意事項をお守り下さい。