2022年度10月例会連絡書

下記のように10月例会を行いますのでお集まりください。
会長 小澤純

日時: 2022年10月22日(土)11:00-13:00(※午前中ですのでご注意下さい)
場所: アミ本厚木(厚木市中町4−5−10 厚木楽器2F)小田急線「本厚木駅」徒歩5分
発表: 森広樹
「作曲家 M.ラヴェルの頭の中を覗き込む」
会費: 会員:無料/非会員(一般):2,000円/非会員(学生):1,000円

内容要旨

モーリス・ラヴェルを死に至らせた病については、これまで様々な説が浮上しており、1932年のタクシー事故による外傷がきっかけだという見解もある。しかし、1926年、当時51歳だったラヴェルは、この時点で友人のロマン・エマニュエルへの手紙の中で、「脳貧血やもうろく」の症状について述べている。近年ラヴェルについては、岩田誠氏を含む、数名の医師らが、「メズラム」と呼ばれる病を患っていたと推測している。「メズラム」の脳損傷の特徴としては、著しい左大脳半球の萎縮が招く失語症、失行症などがあげられている。一方、神経科学の分野では、音楽性に関する広範囲におよぶ脳メカニズムは、脳損傷によってゆがめられ、混乱させられる一方で、認知的な脳の重篤に耐えうることを立証してみる。その上で、情動的側面を多く補う右大脳半球の働きが、ラヴェルの情動性、しいては音楽への理解やその表現性を保持し続けていたという可能性について見解を示している。
本発表では、発病後ラヴェルが作曲した作品、それ以前の作品を作曲的な視点で比較、特にその巧みなオーケストレーションの技に注目しながら、彼の情動的脳の働きが苦しみながらも晩年まで保持され、崇高な音楽を紡ぎ続けていた実態に触れる。その上で、彼の豊かな音楽性について改めて考察を深める。

※ご出席に際しては新型コロナウイルス対策のため、マスク着用、一定体温(37.5度)以上の場合は参加ご遠慮頂く等はもとより、事務局よりの示される注意事項をお守り下さい。