2024年度5月例会連絡書

下記のように5月例会を行いますのでお集まりください。
会長 小澤純

日時: 2024年5月25日(土)18:30-20:30
場所: 東京芸術劇場ミーティングルーム5(池袋駅西口)
発表: 大村 新「文献から演奏表現を考える〜ミラン・クンデラ『裏切られた遺言』とヤナーチェクの音楽〜」
会費: 会員:無料/非会員(一般)2,000円/非会員(学生)1,000円

 

内容要旨

本例会では、チェコ生まれのフランスの作家、ミラン・クンデラ(1929−2023)のエッセイ『裏切られた遺言』(1993)の第Ⅶ部「一家の嫌われ者」を取り上げます。このテキストは、レオシュ・ヤナーチェク(1854−1928)論であり、ヤナーチェクの強い表現性と、その演奏に関する諸問題が見事に論じられています。クンデラの父はヤナーチェクに師事したピアニストであり、クンデラ自身も幼少期にヤナーチェクの弟子、パヴェル・ハース(1899-1944)に作曲を学びました。
例会では、クンデラが指摘する「ヤナーチェクの表現主義」とはどのようなものなのかを明らかにします。その際に、クンデラの主張を実際の演奏と結びつけるために、ヤナーチェク作品の録音を複数検討し、発表者もピアノを弾きながら、その要点を述べたいと思います。
クンデラの文脈に従い、最晩年のピアノ小品《思い出》(1928)の実演と分析を予定しています。《思い出》は1分程度の短い曲ですが、ヤナーチェクの作曲技法が高い密度で詰まった作品であり、演奏解釈の検討に最適だと思います。下記URLは、この作品の発表者自身の試演になりますので、よろしければご参照ください。
クンデラのテキストは随時引用しますので、事前にお読みいただかなくても問題ありませんが、現代の作家が音楽について論じている珍しいテキストですので、ご購入をお勧めいたします。

【参考文献】
ミラン・クンデラ 『裏切られた遺言』より第Ⅶ部「一家の嫌われ者」(原書:1993、西永良成訳、集英社、1994

【参考演奏】