2022年度7月例会連絡書
下記のように7月例会を行いますのでお集まりください。
会長 小澤純
記
日時: | 2022年7月17日(日)18:30-21:00 終了致しました。 |
場所: | 東京芸術劇場 ミーティングルーム5(池袋西口) |
発表: | 深尾由美子氏 「セヴラックの創作思想と作品 -ピアノ作品の演奏解釈のヒント-」 |
会費: | 会員:無料/非会員(一般):3,000円/非会員(学生):1,500円 |
内容要旨
生誕150年の記念の年を迎えるフランス近代の作曲家、デオダ・ド・セヴラック(1872-1921)は南仏に生まれ、当時パリに設立されたばかりの、パリ・スコラ・カントルム音楽院で創作の基礎を築きました。
そこでアルベニスをはじめとするスペイン、カタルーニャの音楽家たちと親しく交友関係を結び、学外ではドビュッシー、フォーレからその才能を評価され、彼らの後押しを受けてオペラの上演を果たしています。ピカソやF.ミストラルを始めとする様々な芸術家、思想家たちと広く交わりながら、彼は自らの進むべき方向性を定め、音楽による「地域主義」に至ります。
それは、聖歌や民謡・民俗音楽という聖俗二つの音楽のエッセンスを新しい創作に生かすことでした。
セヴラック独自の「地域主義」とは、19 世紀末から20 世紀初頭のフランス音楽の中央集権に対する地方文化尊重、ワーグナーの影響を排するための伝統回帰という二つの背景の中で、民俗性と宗教性を融合させるものであったといえましょう。
彼は10年余りのパリ生活にピリオドを打ち、故郷よりもさらに南のカタルーニャ地方で円熟期の作品を生み出していきます。
セヴラックの創作思想の形成過程を辿り、その思想が彼の主要ピアノ作品―《大地の歌》、《ラングドック地方にて》、《セルダーニャ》、《休暇の日々より》第1集―のなかにどのように反映されているのか、演奏解釈につながる考察を試みます。